「高知市市民と行政のパートナーシップのまちづくり条例」
(愛称)まちづくり一緒にやろうや条例

1、条例制定の経過
・ 平成5年 市内各地区でコミュニティ計画策定作業が開始された。この作業は市民だけでなく職員も公募によりそれぞれの計画に参加している。(市民1079名、職員106名)
・ 平成13年に策定された『高知市総合計画2001』を実現するしくみづくりの一環として、各コミュニティ計画の推進と並んでまちづくり条例の制定がうちだされた。
・ 平成13年6月 まちづくり条例案策定委員会を設置し、条例に対する提言の策定にとりかかった。 委員は市職員(6名)のほかに一般市民(11名)により構成されており、市民には、コミュニティ計画推進市民会議代表やNPO関係者、青年会議所、町会関係者などが参加している。 委員会は延べ19回にわたり開かれ、ワークショップやシンポジュームなども開催されている。 また特徴ある手法としては市のホームページに平成14年5月より電子会議室を設置している。 これは登録制であったため少人数の参加にとどまったが、例えば地域通貨やまちづくりセンター開設などの貴重な意見がだされるなどの成果はみられた。 さまざまな議論のなかで条例に組み入れることがなかったものも提言集にのせて公にしている。 また提言書の作成段階で利害の対立はあったが、なるべく話あいで解決してもらった。
・ 平成14年7月には市長へ策定委員会の提言書が提出された。
・ 平成14年12月 提言の内容についてパブリックコメントとして意見募集をおこなった。この時点ではパブリックコメントはまだ制度化されていなかったので実験的なものであった。
・ 平成15年3月 議会に条例議案を提出し、議決された。
・ 平成15年4月から施行され現在に至っている。

2、提言書について 
提言書はつぎのような6つの柱から成り立っている。
・ 多様な参加のきっかけづくり
・ まちづくりセンター、スタッフ
・ まちづくりファンド
・ 公開審査会
・ 行政内部の横のつながり
・ 見守り委員会

3、条例の基本的な考え方 
「市民主導の提案型市政のより一層の推進をめざして」をコンセプトにしている。

4、既存条例との整合性
・本条例は既存の条例を包括するような理念的な条例いわゆる杉並の自治基本条例のタイプではなく、既存の条例とはあくまで並列の関係の位置づけとしている。 また他の自治体のまちづくり条例にみられるまちの美観や景観を重視するものは、既に「高知市都市美条例」があり、それとは性格を異にしている。 条例の趣旨はいかに行政と市民が一緒になってまちづくりをしていくかであり、具体的な支援策を盛り込んで策定されている。

5、条例の内容
条例の構成は次のようになっている。
第1章 総則 条例制定の目的
第2章 パートナーシップによるまちづくりの基本原則
第3章 市民等の役割
第4章 市の役割
第5章 市民活動への支援
第6章 条例見守り委員会
第7章 雑則

このなかで特徴的な点について
・ まちづくりファンド 
市から3000万円の出捐をしているが、行政からだけでなく企業や市民からも寄付を募っている。視察時点では募集開始直後ということもあり一般からの寄付はまだ3万円程度であったが、目標としては300万としている。 運用に関しては金利分の活用が理想的であるが、昨今の金利状況では不可能であり、おおよそ7〜8年をめどに資金が枯渇してしまうので一定の時期に、今後の検討をすることとなっている。   資金管理は公益信託方式とし銀行(四国銀行)が管理運営をしている。 支出については審査会で決定しているが、審査内容は完全公開となっており、応募者等の市民が見守る中、それぞれの応募について点数化し議論していく。 前回実績としては、応募20団体中、14団体に助成が決定している。 応募はNPO団体のほか町会などの任意団体も含まれ、分野としては、環境、福祉、教育、文化(演劇やはりまや橋再生など)など多岐にわたっている。

・ 見守り委員会 
条例の第6章に見守り委員会の設置が明記されている。 現在、準備中であるがメンバーとしては学識経験者や条例案策定委員のほかに一般公募を予定している。

6、条例制定に際して
・ 市民に本条例に愛着をもってもらうために、『まちづくり一緒にやろうや条例』という愛称をつけ、また親しみやすい方言をもちいて呼びかけ調の前文をつけている。
・ 職員にも意識をもってもらうために研修なども実施している。

7、所感
・ 高知の条例は包括的なものではないので、杉並区の自治基本条例とは性格を異にしている。 策定までの経過において条例案策定委員会の頻度をとっても非常に丁寧につくりあげている感がある。 また見守り委員会については、まだ視察時点では準備段階でありまだ機能していないが、当区の条例にはないものであるので今後に注目したい点である。



文化プラザ かるぽーと

1、建設の背景
はりまや橋から九反田地区にかけての活性化のため中心市街地再開発が取り上げられており、特に旧市営駐車場(7200・)の敷地の高度利用が検討された。
市民のニーズとしては文化ホールを含んだ文化施設が高く、当時は高知市内には公の大規模ホールとしては県民文化ホール(1500席、500席)があったが、稼働率が年90%以上のためなかなか確保できないなど不満の声もあり、新たなホール建設の要求が高かった。 また市民の文化の発表、発信の場としては県立美術館に併設されていた県民ギャラリーがあったが、スペースも狭く制約があったため、市民ギャラリー建設を求める要望の運動があった。 
また平成7年に地元出身のまんが家で文化功労者の横山隆一氏から膨大な作品とユニークなコレクションを市に寄贈する申し出があり、これを機に横山氏の記念館建設の機運が高まっていた。 それまで高知では他に高層ビルがほとんどなかったが、(本館は68m)これらの要望に応えるべく、市としても初めての大型複合施設としての計画がすすめられ、平成14年4月に開館となった。

2、概要
大ホール 1085席
小ホール 200席(移動式)
横山隆一記念まんが館 約1880・
ギャラリー 展示室5室 合計約1435・
公民館 講義室、創作室、和室等
駐車場 200台

総事業費は190億円(土地代別) そのうち174億円は地域総合事業債によっている。
管理運営は財団法人高知文化振興事業団とし、派遣法の改正により市からの職員は派遣という形になっている。 運営体制は40人のうち市派遣が14人、事業団職員等が36人となっている。 また駐車場管理、清掃、舞台操作など施設管理でおよそ7〜80人の規模の業務委託をしている。 複合施設のため、それぞれの開館・閉館時間はまちまちとなっているなど複雑な管理となっているがこれらは今後の課題である。
開館以来延べ62万人が利用しており、利用率は開館以来、非常に高い水準で、大ホール75% ギャラリー95%となっている。 
既存の県民ホールとの関係であるが、市民ホールが開館した後も県民ホールの稼働率は大幅な減少なはく、ホールの規模の違いから利用者の棲み分けができているようである。
まんが館の入場者は昨年実績で、招待者も含めて約5万人でうち2万8千人が無料スペースの利用となっている。 当初年間10万人を想定していたので期待を下回っているが、魅力ある企画などを含めて入場者増が今後の課題である。
『かるぽーと』の名前は愛称募集によってつけられたもので、カルチャーとポート(港)の造語である。

3、所感
地方都市にありがちな大型施設ではあるが、その稼働率の高さから市民のニーズの高さがうかがえ、非常に有効な施設であるという認識できた。
ただ施設での説明でものべられていたが、管理体制の整理が今後の課題である。
まんが館については、杉並でもアニメーション振興をうちだしていることもあり参考になったが、入場者数の確保に苦労されている様子にあらためて箱ものについての難しさを感じた。