松山市

(中村時広市長から説明)
まず冒頭に中村時広市長から今回の調査項目を含め幅広く市政について説明をいただいた。 市長の話を要約すると以下のようである。
・小児救急医療について
かねてより懸案となっていた小児救急医療、特に夜間の対応については、新施設(救急医療センター)開設し、24時間体制を確立している。 これは地元医師会の協力をえているが、市内の病院だけでは対応できず、市外周辺自治体の病院、大学病院、赤十字病院等あらゆる医療機関に働きかけ輪番制で夜間救急体制を構築している。 その後、本来は当委員会の視察項目ではないものの杉並にとっても切実な問題であることから、市長の好意もあり当該施設の視察を急遽おこなった。

・窓口サービスの改革
転居時でも1度窓口にいけば、ほとんどの手続きができるように、1F窓口で155の業務を取り扱い窓口業務のワンストップ化に取り組んだ。 またわかりやすさの点から窓口を大幅に改良し、ユニバーサルデザインを導入している。 親切な対応ということで、職員の窓口対応には民間研修を利用し、およそ10ヶ月の期間をあてている。 佐賀市役所など多くの自治体が参考にして同じように導入をすすめられている。 この後、現場を見せていただき担当者から更に詳しく説明をうけた。

・産業振興
NTT,CATV、中国電力(子会社)などと連携し市内に光ファイバー網(5G)を設置した。 財政措置としては2年間で16億円の補助設定している。 この光ファイバー網の整備の相乗効果として企業誘致に成果があり、具体的にはニフティサーブやもしもしホットラインなどの回線使用を基礎とするサービス業が新たに松山に進出したため結果として約500人の雇用の創出にもつながっている。
また市をたんぱく質研究の拠点として位置づけており、ノーベル賞の田中さんを愛媛大学の客員教授にむかえたり、また市職員も大学の研究室に派遣するなど今後のこの分野での広がりの準備を整えている。

・教育
学校支援費制度の創設をした。 これはある小学校の校長先生の発案でPTA(教員資格保持者)に無償ボランティアで授業に参加してもらったというのがきっかけになった。  総合学習の一環で各学校でやりたいことの希望を提出してもらい、初年度は原則、満額の予算配分の約束をし、各学校の特色づくりを促している。 これには学校間で競争がおこるため当初、教育委員会は難色を示していたが、トップダウンである程度、強引にすすめたようだ。 要求金額には2万から70万までまさにバラバラであったが、各学校それぞれ知恵を絞り、いかに地域を巻き込むかなどの努力の跡がみられた。

・環境
姉妹都市のひとつであるフライブルグ(ドイツ)は環境先進都市として知られているが、松山市に駐在事務所がおかれ、その環境政策データなどを提供してもらっている。 また延べ1000人以上の中学生の派遣や市職員の派遣も行っており、特に環境分野において両市は今後も連携をとっていく方針である。 最近注目しているのは、フライブルグのすぐれた交通システムで、パークアンドライドという考え方を例えばサイクルアンドライドのように市に応用できないか研究している。 また愛媛大学にもこの分野でも協力をしている。

・『坂の上の雲』のまちづくり(観光)
・ 松山市は著名な作家である故司馬遼太郎さんの作品『坂の上の雲』の舞台となっており、この小説そのものをまちづくりの理念に使うことはできないかと思案した。 その後、司馬家からの快諾も得て、まちづくりに着手している。 計画には記念館の設置も決定しており、現在、著名な建築家である安藤忠夫さんの手により実施設計にはいっている。
・ 市出身の正岡子規が野球と深いかかわりがあることから野球殿堂入りを果たすことになった。 それを記念してプロ野球のオールスター戦の誘致というアイデアが生まれた。 当初は困難な状況だったが、市民23万人の署名が集まり、見事逆転勝ちをおさめ開催にいたった。このときに正岡子規の殿堂入りの表彰をおこなっている。
・ 修学旅行の誘致を今後、積極的にすすめていく。 松山に来れば昭和初期の日本の学習ができるということをアピールしたい。


(各担当からの説明)
1、産業応援団
・ 産業情報のワンストップ化を目指し、市のHPのサイトで情報を集約するようにし、運営はNPO法人に委託(280万)している。 目的はベンチャー企業や中小企業の支援をし、地域経済の活性化と雇用の創出をはかることである。
サイト内の主な項目は、
・ 支援制度の紹介
・ 資金調達
・ 起業のための情報
・ 求職・求人
・ 市内で行われているセミナーや講座の案内
などであり、サイトで情報を流すだけでなく、ハード面でも空港近くのビルの開きスペースを利用してインキュベーション施設を開設している。 

2、総合窓口センター
・ 『やさしくて便利な日本一の窓口づくり』を基本方針とし、住民移動に伴う各種手続きのほとんどがひとつの窓口でできるなど窓口を一本化し、手続きの時間短縮とわかりやすさを実現している。 従来、窓口では取り扱いが91業務であったが、新たに国保、年金、介護保険や税証明の交付など64業務を追加し、155業務に拡大した。 また申請書の様式を簡単にするなど改良をすすめている。 これらによって職員の事務処理のスキルアップが求められたが、民間研修をふくめて研鑽に努めている。 また職員には処理能力だけでなく親切な対応や案内についても重点がおかれている。
・ また1F窓口を大幅改装し、利用者にとって見やすくてわかりやすい表示をするため、民間のデザインを導入している。 例えば手続きごとに4つの窓口(証明発行コーナー・届出受付コーナー・外国人コーナー・母子健康コーナー)に区分し、それぞれに色分けをし、色と絵でわかるように工夫している。 またカウンターも車椅子でも対応できる高さとなっていたり、子供用のスペースをもうけたりと、障害のある方や外国人の方、また幼児連れの方も使いやすいようになっており、“すべての人にやさしくて、分かりやすい窓口”の趣旨が生かされているが、その一方、個別カウンターの設置等プライバシーに配慮した面がみうけられる。 また繁忙期に備えてフリーカウンターを設けているなどの柔軟性もある。 1Fは手続き窓口だけでなく、ロビーには行政情報を発信する市政コーナーが開設するなど情報提供の基点ともなっている。
・ 松山市では、市庁舎での手続き割合が多く、年間転入約1万4千件のうち1万人が総合窓口を利用している。

3、松山市総合コミュニケーションセンター(現地視察)
施設概要
・ 体育館、温水プール
・ 中央図書館
・ 文化ホール(988席)
・ コミュニティプラザ(会議室9、和室4、練習室3、レストラン等)
・ こども館・コスモシアター(こども広場、展示、プラネタリウム等)
・ 企画展示ホール
敷地面積28842.47・ 建築面積 47896.47・の広大な複合施設であり、運営は施設管理公社が担当している。

4、急患医療センター(現地視察)
・ 急患医療センターは平成15年6月に開設されている。 初期救急医療機関として内科・小児科の夜間のみの急病患者の診察をしている。
・ センターは子育て支援相談室と併設しており、事業としては、育児相談の窓口(来訪、電話)や、赤ちゃん健康塾等の講演会の開催、子育て中のみなさんのネットワークの場の提供などを行っている。



5、所感
行政視察で市長自らが説明をいただくことは稀でありがたいケースであった。 委員会視察はどうしても所管の施策だけに捉われがちではあるが今回は自治体全体の方向をとらえることができた。 中村市長は当区の山田区長とのタイプが似ているため松山と杉並をさまざまな点で比較することができた。 
総合窓口はこれから杉並が展開することの一歩先んじており、今後、大いに参考となるものであった。 
また区民生活委員会の所管外ではあるが、先方のご好意により急患医療センターの説明、現地視察が思いがけず実現した。 小児救急医療の問題は当区でもさしせまった課題でもあり松山市の先進的な事例には学ぶべき点が多い。