視 察 報 告

日   時 : 平成16年1月30日(金)13:00〜
視 察 先 : 函館市監査委員事務局
視察テーマ : 住民監査請求『市議会の政務調査費について』
報 告 者 : 佐々木浩



1、 住民監査請求の概要
 平成13年度の函館市議会の政務調査費について、函館市議会政務調査費の交付に関する条例及び交付に関する条例施行規則の使途基準を逸脱した違法・不当な使用がある。よって違反して使用した分について市に返還させるなどの措置を講ずるよう市長に勧告すること求める。
平成14年11月21日に提出され同12月2日受理。

2、 監査結果の概要
 平成13年度の政務調査費の議会各会派の使用に関し、条例・規則に違背した使用があることが判明してため、当該分6万7千920円の返還を求めるなどの必要な措置を講ずるように市長に勧告し、30日以内に講じられることを求める。

3、 調査内容
 調査にあたっては、インターネット等から当該事案の監査結果を入手し、その資料の範囲で質問項目を作成したうえで、視察の約1週間前に函館市監査事務局にファックスにて事前に送付をした。 その回答を中心に説明をうけまた更につっこんだ調査することができた。

(1) 監査委員の排除について
市議会議員の政務調査費ということで監査委員のうち議員選出の監査委員2名を除斥している。
このことについて平成2年の千葉県政務調査費支出差止請求事件(千葉地裁)で政務調査費は一身上の都合ではなく議会全体のこととして議員選出監査委員を必ずしも除斥する必要はないとの判決があったことなどを引き合いにして当時の議論を伺ってみた。 その結果、請求者も除斥を望んでいるとの事であったので常識的な選択として除斥を決定したとの事であった。
(2) 監査の対象について
対象は13年度分に交付された政務調査費となっている。
このことについて平成16年1月の豊島区の同様の監査請求結果を引き合いにして、支出から起算して1年ということを考えるのであれば、交付が年に数回わけられて支給された場合は1年内の部分だけを対象とする考え方もあるのではないかと伺ってみた。 その結果、政務調査費の交付は年2回に分けられている。 しかしながらその使途内容が確認できるのは収支報告書が提出された時点であり、これが財務会計上の行為としても政務調査費の確定とみなされる。 したがって起点を収支報告書提出日としたとのことであった。
(3) 監査対象部局について
議会事務局を対象部局としている。
このことについて、たとえば総務部総務課等の調査費を交付する側を対象とすることは考えなかったかと伺ってみた。 その結果、所管はあくまでも議会事務局であることから他の必要は考えなかったとのことであった。
(4) 事情聴取の方法について
各会派に、会計帳簿・証拠書類(領収書等)の提出を求め、内容確認を要する支出があったものは該当会派の経理責任者等から事情聴取したとのことであった。
(5) 関係例規について
地方自治法、函館市議会政務調査費の交付に関する条例そして同条例施行規則を判断材料としている。
このことについて、上記とは別に「政務調査費使途基準の運用」が存在しているが判断基準になってないのは何故か伺ってみた。その結果、「政務調査費使途基準の運用」は政務調査費を交付する市が規定したものでなく、使用する議会の各会派において作成されたものである。議会内に任意団体として政務調査費運営協議会が設置されており、「政務調査費使途基準の運用」はあくまでもそこでの申し合わせにすぎないという位置づけであるため、違法・不当性の判断基準にはならないとのことであった。 この「政務調査費使途基準の運用」についてはあくまでも任意のものであるが請求者にも公開をされ、また監査結果によって返還請求された以外にも議会独自の判断として「政務調査費使途基準の運用」に反していると見なされた分を上乗せして返還するなどの自主的な措置が見られている。
(6) 個別の判断について
研究研修及び調査の旅費について、日当及び宿泊費が定額払いとなっていることは請求人が不当ではないかと指摘している。 私個人としてもこれらの旅費については実費支給が望ましく、特に日当などの必要が認められるのかと伺ってみた。
その結果、実費支給では統一基準の作成、領収書の収集の困難性などもあり事務が煩雑化するおそれもある。 同様の理由から函館市の職員の旅費についても概算払いにより支出し、行程等に返還がない限り、定額としていることから、政務調査費の旅費についてこれを準用することには一定の合理性があるとのことであった。
研修会・懇談会、広報・公聴費、事務費等について、個人の政治活動や政党の政治活動との境界、いわゆる酒類を含んだ懇談会の取り扱い、会派で雇用している臨時職員給与やボーナスに何らかの根拠(支給基準)があったのかどうかなどを伺ってみた。 その結果、基本的には各会派および個々の議員の自主的判断に委ねられているものと解され、社会通念上、認められる範囲かどうかを判断した。
今回の調査では酒類を含んだいわゆる宴会のたぐいは見られなかった。また臨時職員について支給基準というものは確認していないがその金額等から類推しても社会通念上逸脱しているほどのものではなかった。

4、 監査意見について
議会事務局及び各会派に対していくつかの改善要望をおこなっている。
それをうけて議会として、平成15年4月1日からしと基準の明確化等のため要綱等を制定した。 (政務調査費運営協議会設置要綱、政務調査費の使途基準の運用に関する取扱要綱、政務調査費の支出に関する事務処理について)

5、 勧告に基づき講じた措置
勧告のとおり当該分の返還と収支報告書の修正を各会派に求め、2月10日までに返還がなされている。

6、 請求人のその後の動向
請求人が指摘したものについて一部返還されているが、それではまだまだ不足とのことで平成15年2月18日、函館地裁に提訴し、現在、係争中である。