コミュニティの自律経営について

(導入への道筋)
平成12年4月 福岡市経営管理委員会が「DNA2002計画」を提言 ここで初めてコミュニティの自律という概念が示され、翌13年12月 「コミュニティの自律経営指針」が策定された。その後、市民を交えたコミュニティ自律経営市民検討委員会が「コミュニティの自律経営推進に関する提言」を提言した。 福岡市はそれまで各町会・自治会単位で町(ちょう)世話人制度という制度があった。 町世話人は準公務員待遇で80%が町会長である。 街灯の照明関係など30項目にわたって町の業務を取り扱ってきたが、最近は5項目に減少している。 この町世話人制度の廃止とあわせて新たに自治協議会の設置が議論された。 その結果、平成15年末には町世話人制度は廃止され平成16年3月には小学校区ごとに自治協議会制度がスタートした。 現在では147校区中95%にあたる140校区に協議会ができている。

(これまでの課題と解決に向けて)
少子・高齢化がすすみ、福祉、子育て支援への対応や環境への取り組み、また防犯・防災のまちづくりなど、行政と地域との共働によるまちづくりが必要になってきた。 しかし市の窓口が縦割りであるため地域に対しても縦割りであり各団体間での充分な連携・調整がなされていない。そこで解決策として、平成16年4月に7つの区役所それぞれに地域に向き合う窓口である地域支援部を創設し、校区担当職員を配置し地域コミュニティ支援体制の強化をした。 また本局には地域支援課がつくられ36人体制で ひとり4校区を担当している。 コミュニティ支援体制を強化した。 また公民館(小学校区にひとつ)を教育委員会から市長部局の所管に移動し、コミュニティの核になる施設として位置づけている。また校区ごとに自治協議会をつくっていただき、ここに補助金を一本化する。 これまで町会・自治会や地域の各団体が行政の下請けのようなイメージがあったが、これからは地域と行政がパートナーとして対等な関係になることが望ましい。

(自治協議会)
 できるだけ多くの住民の参加いただき、校区でのさまざまな事柄を協議し、活動を行い、校区を運営していく組織である。 住民自身が地域を経営していく、いわば自分達で考えて自分達で動くこと、またお金いわゆる補助金の使い方は地域にまかせるなどコミュニティの自律経営が望まれる。
 運営の基本的なルールとしては、幅広い年齢層の住民や各種団体の参加による組織構成、役員の民主的な選出、協議による意志決定、自主財源の確保、事業計画・予算作成および執行の透明性、会計処理の透明性などである。
 自治協議会の構成団体として、校区で組織されている全自治会・町内会のおおむね8割の団体、または市から補助金を受けているいわゆる官製団体8つは必ず参加する。(交通安全推進委員会、体育振興会、女性協議会、青少年育成連合会、ごみ減量・リサイクル推進会議、献血推進協力会、衛生連合会、自主防災組織)  
 そのほかできるだけ多くの住民の意見が反映されるようさまざまな団体の参加をもとめている。例えば、老人クラブ、子ども会育成会、防犯協会、母子福祉会、PTAなどである。
 自治協議会の構成については、それぞれの地域ごとに適した構成を考えてもらうが、参考になるように「部会型」「並列型」などのパターンを例示している。
 補助金はこれまで地域各団体に配分されていたおのおのの補助金を統合し、それに新たな支援費を加えている。校区の人口によって4つのランクにわけ補助金と事務経費の上限を設定している。

主なQ&A
Q:147の小学校区単位では数が多すぎるが、中学校区単位あたりでという話はなかったのか?
A:先行していた宝塚市を参考にした。 地域自治を考える際、自治会、町内会の単位が基本であるが、それでは少し小さすぎて限界がある。 そこで校区単位であれば、ある程度構成されており妥当だった。 中学校単位でなく小学校単位としたのは、福岡市では小学校区単位に公民館が設置されておりこの公民館を活動拠点として活用できるからである。 補助金の額とかの都合上、人口規模を4つのグループに分割したが5000人〜1万人規模が一番多く、およそ5割くらいがこれにあたる。
Q:自治会・町会への加入率はどのくらい?
A:自治会・町内会のそれぞれの加入率はわからない。 ちなみに協議会に参加している自治会・町会は現在99%にあたる。
Q:協議会のエリアが2つの校区にまたがることはないのか?
A:福岡市の場合はほとんどない
Q:コミュニティが独自の価値観をもち自己決定するのは難しいがどうか?
A:人口移動が5年間で半分と激しいが、昨年の地震の経験から災害、見守り等の安全対策について地域ごとのまとまりができてきたことは大きい 。地域課題はなんだろう 解決するためにはどうしたらよいかということから始まって、地域で出来る範囲のことをやっていく。
Q:行政の関わり方、特に担当職員の役割は?
A:予算のたてかたなど助言していく
Q:意志決定の仕組みは? 利害対立の調整とかどうしているか?
A:総会、役員会など組織のつくりかたについては、ひな形を提示するが、その地域にあったやりかたを地域ごとにきめていく。
Q:そこに住んでいる職員が一住民としてどのように関わっていくのか?
A:山崎市長はどんどんいけとはっぱをかけている。 強制しているわけではないが、勤務評定欄にコミュニティ活動の評価欄があるので積極的に参加しているようだ。
Q:団塊の世代の掘り起こしはなにか考えているか?
A:まだみえない。地域も手探り状態
Q:当初の想定したとうりか? 現在までをふりかえって乖離はどんな所に?
A:協議会の会長にアンケートを採るなどして検証している。 いままで各組織がバラバラだったのが横の連携ができたということで評価は高い。 一緒にやることで新たな発想やいままで気づかなかったことができるようになった。  ただ会長等少数の人に負担が集中している傾向はある。

(所管)
 地域自治については杉並区でも現在、暗中模索している状況であり、先進的な例として参考になった。既に小学校単位で公民館があり拠点が整備されていることや、各地域の補助団体が校区単位であることなど、この施策にはいる下地があり、杉並にそのまま応用するというわけにはいかないが、地域団体の縦割りから横の連携をどうするかなどはまさしく当区の課題でもあり、たとえば補助金の統合などの考え方やなど活用できるかもしれない。ただ質疑にもあったが地域で自己決定する場合のまとめ方、とりわけ対立する利害調整については現場ではさまざまな困難なケースがあったようであるが、そのあたり具体的に調査できればと思ったが時間ぎれとなってしまった。


福岡市災害対策支援関係システムについて
1,被害情報等集計システム
(システムのあらまし)
平成15年、16年にいろいろな各メーカーの同様のパッケージを比較検討し、福岡市の実状にあうように改良して現システムが導入され平成17年に稼働している。全市の被害状況及び現場での活動状況を把握するため、 被害の種類、地域などの集計を行う。 すべての業務をパソコン上でできることが理想ではあるが、実際は入力作業の練度があがってないこともあり、ファックスと併用している。
(システムの概要) 
本庁の7階に災害対策本部と専用サーバーを設置し、全庁LAN経由で各区災害対策本部(7区)からの情報を集約する。 各区災害対策本部は各区総務課が把握した被害情報及びそれに関する対応状況等を入力する。その情報を7グループ(7区)にわかれた本庁の各区対応担当がそれぞれの各区の入力情報の収集し、対応状況の把握及び指示を行う。 それらの情報に基づいて、本庁本部の情報収集統括担当が被害、対応情報の収集、整理及び報告用のデーターの出力を行う。 統括担当は2人1組の4人、2台配置している。

2,ヘリコプター画像伝送システム
 災害時にヘリコプターを飛ばし搭載カメラにより現地画像を取得し、すばやく的確に状況を把握することができる。 画像は消防本部を経由して災害対策本部に伝送される。 ヘリコプターは現在、消防局に2機配置されており、将来もう1機増やす予定である。直近では平成17年3月の福岡県西方沖地震において活用された。 またカメラについては福岡タワー(130M)にも定点カメラを配置しており、これらは通常においても火災時などの時にも運用されている。
3,携帯電話による現場画像取得
 消防署、各区役所、市の災害対策本部に専用の携帯電話と受像機器を計33台を設置し、携帯電話から撮影された現場の状況を消防本部、市災害対策本部に送信し状況把握を的確におこなう。

4、防災ホームページ
 福岡市の災害対応は台風などの風水害に重点がおかれていた。 平成11年の集中豪雨ではJR博多駅周辺を中心に地下街が浸水し死亡者1名という痛ましい事態がおきている。
 防災ホームページでも特に水害について重点がおかれており、警報・注意報、雨量などの気象情報、河川水位や河川の画像など防災に関するさまざまな情報が提供されている。  気象情報は日本気象協会に委託し、データーを整理してアップしている。 河川水位や河川の画像については夜間は自動的にライトアップするようになっている。

5,防災メールサービス        
 防災情報をメールで配信しており、パソコンでも携帯電話でも受信可能となっている。その内容としては、気象警報発表されたとき、雨量が基準値を超えたとき、河川水位が危険水位を超えたとき、避難勧告などの緊急情報を伝えるときなどに配信されるが、昨年の西方沖地震以来、地震情報についても追加している。  登録のしかたとして、福岡市といっても広大な地域でもあるので全市パターンの他にエリアを東部、中部、西部の3つに分けており、全部で4つのパターンがある。またメール以外でもインターネットファックスを活用して同様の情報を得ることができる。  地下街や自主防災組織など現200件ほど登録している。 市の対応としては、注意報が出た時点でスタッフ(約40人)にメールを配信し、警報でると災害対策本部が設置され、防災メールが一般にも配信される。 また非常参集の手段として第1次招集、第2次招集時に(職員1500人)に自動的に電話をかける「お伝えくん」というシステムが稼働する。  

主なQ&A
Q:地域の消防団との連携は?
A:直接はこれらのシステムとは関係していない
Q:システム導入によって改良された所や利点はなにか?
A:福岡市は10年に1度は大きな風水害災害があり、平成11年の水害では博多駅が水没し、死者がでた。これらに迅速に対応できる。
Q:職員の非常時の参集体制はどのようになっているか?
A:第一次 353人 (1時間10%)
  第2次 790人(2時間20%)
  第3次 1900人(3時間30%)
Q:防災宿舎はあるのか?
A:ない
Q:河川監視カメラは設置されているのか?
A:15カ所設置されており、ホームページにアップしており誰でも見ることができる。
Q:地下街の対応はどうなっているのか?
A:平成11年の水死事故当時は全く対応できてなかった。平成15年にも水害があり、地下に水が流れないような対応はしたが、工事現場等の隙間から水が流れ込んだりと、万全とはいえなかった。現在、対策協議会を地下街に設置し、防水訓練などもおこなっている。
Q:警報や防災無線など市民への連絡はどうなっているか?
A:警報に関しては危険水位に連動して自動的に稼働する警報機を市内144カ所に設置している。 防災無線に関しては公民館(小学校単位で一つ)に移動系の防災無線を設置している。
Q:内水対策については?
A:川への流入抑制施策 浸透性舗装、貯水槽など対応している。
Q:市民の防災訓練の状況は?
A:総合訓練を年1回 その他の訓練も年1回開催している。これまでは風水害を想定していたので、時期的には梅雨前に開催し、消防、警察などをあつめて大がかりに市中心におこなっていた。しかし16年からは7区に分散し行政主導から市民参加型訓練に変えていった。場所は各学校で 実施され今年度ではトータルで5500人、1カ所約800人くらいが参加している。その他、地域の自主防災組織でおのおの防災訓練をおこなっている。
Q:大規模災害時は、場合によっては全庁LANも遮断される可能性もあり、携帯電話も通じにくくなると思うが?
A:前回の地震ではライフラインへのダメージも少なく内線電話と防災無線も普通につかえた。 LANだめなら防災無線でファックスをやりとりするしかないが、防災無線もまだアナログなのでデジタル化への移行が課題となっている。
Q:消防、警察、自衛隊などの関係省庁とのデーター連係はどうなっているか?
A:今はまだ共有していない
Q:本庁舎が被災した場合のバックアップはどうするのか?
A:消防本部に災害対策本部が移されるとおもうが、距離が近いため同時に被災する可能性は否めない。
Q:現場画像用の携帯電話の管理は?
A:あくまでも区の施設に設置してあって、災害時に職員が持ち出して撮影をし、情報を送る。基本的にはワンウエイである。また画像撮影できる携帯電話は一般的に普及されてはいるが、地域の方々からの情報を収集する仕組みはまだできていない。
Q:公民館を地域の防災拠点とされているが非常時の職員の参集については本庁集合が基本か?
A:職員は近くの公民館に参集して情報収集する。
Q:備蓄倉庫の設置状況は?
A:市としては設置してない。公民館のなかには多少の備蓄があるが2カ所のみで災害工具いわゆるジャッキとかはない。
Q:他自治体との防災協定は?
A:近隣の自治体とは協定をむすんでいる。

所感
福岡市は災害対策を台風や集中豪雨などの風水害に重点をおいているため杉並の状況とはずいぶん異なっている。市として備蓄倉庫を設置していないこと。また消防団など地域との連携や防災無線のデジタル化など対応が課題となっており少なくとも大規模地震を想定した災害対策に関しては当区のほうがすすんでいるとみうけられる。